無償3D CAD講座:Fusion 360初体験でも「ミニ四駆」ボディーが作れちゃう!

はじめに

入門者向けの無償3D CAD「Autodesk 123D Design」(以下、123D Design)をそろそろ卒業したいという、そこのあなた! 次のステップとして、日本語対応した「Autodesk Fusion 360」(以下、Fusion 360)を使ってみてはいかがでしょうか?

関連リンク
Autodesk 123D Design 超基礎編
https://modelabo.itmedia.co.jp/info/info_cadbasic00/

冒頭から怪しい勧誘のようですが、別にオートデスクの回し者ではありません。

Fusion 360はクラウドベースの3D CAD/CAM/CAEツールで、無償(個人利用や年間売上1200万円未満スタートアップ企業に限る)でありながら、かなりレベルの高いことがいろいろとできてしまうのです。まぁ、実際に個人でモノづくりを楽しんでいる方、特に本稿のターゲットである初心者の方(筆者含む)が、どこまでそんなハイエンドな機能の数々を使いこなせるかは分かりませんが、123D Designの次のステップとして最適なツールの1つだと思います。

ただ、そうは言っても123D Designを使っていた人が、いきなりFusion 360を使いこなせるわけはありませんよね(筆者はムリでした……)。機能やメニューも劇的に増えていますし、操作にも違いがあります。一度画面を見ただけで、そっと[閉じる](×)ボタンを押した人も多いのではないでしょうか?

そこで本稿では、みんな大好き(?)タミヤ「ミニ四駆」のボディー設計を題材に、基本機能だけに絞って、Fusion 360による「T-Splines」モデリングの世界を紹介したいと思います。

脱123D DesignをもくろむFusion 360初心者の筆者が、T-Splinesを活用したモデリングを“初心者目線で”できるだけ分かりやすく説明していきます。取りあえず、Fusion 360で何となくミニ四駆のボディーができた! というのがゴールですので、TIPS的なことやテクニック的なこと、そして設計精度をお求めであれば、ちょっと物足りないかもしれません。

しつこいようですが、本稿はFusion 360の“基礎の基礎(それ以前!?)”しか紹介しません(というか難しいことは説明できません&詳細も省略します)ので、もっと詳しく知りたいという方は、MONOistの記事やFusion 360のチュートリアル機能、YouTube動画などを参考に、次のステップに進んでいただければと思います。

関連記事
無償3D CADによる「ミニ四駆」ボディー設計講座
http://monoist.atmarkit.co.jp/mn/series/2023/
3DCAD&3Dプリンタで機構を作る
http://monoist.atmarkit.co.jp/mn/kw/3dcad3dprint.html

ちなみに、Fusion 360の「360」は、「さんろくまる」ではなく、「すりーしっくすてぃー」と読みます。「ふゅーじょん すりーしっくすてぃー」と言わないとオートデスクに怒られます(ウソ)。

Fusion 360のダウンロード/インストール

Fusion 360は、http://www.autodesk.co.jp/products/fusion-360/overviewからダウンロード可能です。トップ画面の「体験版を無料ダウンロード」をクリックすると、「Fusion 360 Client Downloader.exe」がダウンロードされます(画像1)。「Fusion 360 Client Downloader.exe」を実行し、[次へ]ボタンを押していけばインストールが完了します。ある程度PCを使ったことのある方であれば、特に問題なくインストールできるのではないでしょうか。

画像1 「体験版を無料ダウンロード」をクリック

画像1 「体験版を無料ダウンロード」をクリック

なお、Fusion 360は、Windows 7以降、Mac OS Xをサポート。32bit OSに対応していないので、どうしてもインストールが上手くいかない場合は、使用環境が64bit OSか確認してみてください。

本稿は、Windows環境での利用を前提に説明を行いますので、あらかじめご了承ください。

シャシーのデータを自分のプロジェクトに保存しよう

Fusion 360を無事にインストールできたら、「Autodeskアカウント」を入力してサインインします(123D Designのユーザーなら持っている?)。万一、アカウントをお持ちでない場合は、新規に作成する必要があります。

さて、Fusion 360が立ち上がったでしょうか?(画像2)

画像2 Fusion 360の画面。方眼紙状のワークスペースにモデリングしていく

画像2 Fusion 360の画面。方眼紙状のワークスペースにモデリングしていく

画面構成の紹介などは置いておいて、まずは、ミニ四駆のボディー設計に必要となる「シャシー」のデータを入手しましょう。本稿ではボディーの設計だけにフォーカスしていますので、シャシーのデータ(※注)をあらかじめ用意しておきました(提供:オートデスク 藤村祐爾さん)。こちらの「MAシャシー」をベースに、T-Splinesでボディー形状をモデリングしていきます(画像3)。

画像3 MAシャシーのデータ

画像3 MAシャシーのデータ

⇒ MAシャシーのデータ「MAv25v8v1.f3d」ダウンロードはこちら(※注1)

※注1(2016/2/15): 本データですが、実際の「MAシャシー」とのズレ(タイヤ位置のズレ)が報告されております。ただ、本記事の内容に大きな影響はありませんので、本データを基にT-Splinesの練習をしていただければと思います。万が一3Dプリントされる際は、自己責任でお願いいたします。ご迷惑をお掛けし申し訳ございません。

最新「MAシャシー」データ「MA.f3d」のダウンロードはこちら(※注2)

※注2(2016/3/10): 遅くなりましたがオートデスクの藤村さんにご協力いただき、注1でのご指摘内容を修正した、最新の「MAシャシー」データを上記からダウンロード可能となりました。ただし、ミニ四駆としての品質を100%保証するものではありませんので、3Dプリントされる際は、自己責任でお願いいたします。

まずは、上記のリンクから「MAv25v8v1.f3d」を自分のPCにダウンロードしてください。ちなみに、「*.f3d」はFusion 360のファイル形式のことです。

次に、ダウンロードした「MAv25v8v1.f3d」を自分の作業プロジェクトに取り込みます。Fusion 360の画面をご覧ください。画面の最上部左に「データパネルを表示」という9つの四角いブロックが並んでいるアイコンをクリックしてください。

画像4 自分のプロジェクトを表示する

画像4 自分のプロジェクトを表示する

すると、自分のプロジェクト一覧が表示されます(画像4)ので、一覧の上部にある「新規フォルダ」アイコンを選択して任意の名前のフォルダを作成してください。筆者は「mini4wd」というフォルダにしました。フォルダができたら、ダブルクリックして作成したフォルダの中を確認してみてください。……はい、もちろん空っぽです。

新規作成したフォルダのまま、プロジェクト一覧の上にある「アップロード」という雲の形をしたアイコンをクリックしてください。

画像5 「アップロードするファイルを選択」のダイアログ画面

画像5 「アップロードするファイルを選択」のダイアログ画面

画像5の画面が表示されたら、先ほど自分のPCにダウンロードした「MAv25v8v1.f3d」を選択して、[アップロード]を実行します。アップロードが完了したらダイアログ画面を閉じてください。

以上で、ベースとなるシャシーデータを自身のFusion 360プロジェクトに取り込むことができました。

下準備

いよいよ、T-Splinesによるモデリングです。まずは、先ほど保存したシャシーをFusion360のワークスペースに表示しましょう。

ご自身のプロジェクト一覧から先ほど取り込んだシャシーデータをダブルクリックします。すると、Fusion 360のワークスペースにシャシーの形状が表示されます。無事に表示されたら「データパネル(プロジェクト一覧)」は[×]ボタンで閉じて構いません。

ボディーの形状を設計していくため、画面右上にあるサイコロ状の「ビューキューブ」で視点を変更します。具体的には、クルマの前方が左に、後方が右にくるように真横に表示しました(必ずこれに従う必要はありません。自分のやりやすい向きで構いません)。筆者の環境では、ビューキューブの「前」と書かれた面をクリックするだけで真横に表示されました(画像6)。

画像6 クルマの前方が左に、後方が右にくるように「ビューキューブ」で視点を変更。MAシャシーの場合は反りあがっている方が後方になる

画像6 クルマの前方が左に、後方が右にくるように「ビューキューブ」で視点を変更。MAシャシーの場合は反りあがっている方が後方になる

今度は、画面の左側に表示されているツリー構造の「ブラウザ」(電球のアイコンなどが並んでいるリスト)から、「ボディ」と書かれている左側の△マークをクリックして、ボディーのリストを展開します。ここで、電球アイコンをクリックして、不要な形状を非表示にしていきます。「ボディ14」と「ボディ17」は表示(電球ON)にし、それ以外は非表示(電球OFF)にします(画像7)。

画像7 「ブラウザ」から「ボディ」のリストを選択し、必要な形状だけを表示に

画像7 「ブラウザ」から「ボディ」のリストを選択し、必要な形状だけを表示に

ワークスペースに表示されているパーツは、ミニ四駆のボディーをシャシーに取り付ける際に必要となる部分(キャッチ)です。これを起点・終点にし、ボディーを設計していきます(画像8)。

画像8 この2つの形状(ミニ四駆のキャッチ部分)が表示されていればOK

画像8 この2つの形状(ミニ四駆のキャッチ部分)が表示されていればOK

なお、以降ではマウスやキーボード操作で、モデルの視点を変えたり、形状を変更したりする必要がでてきますので、Fusion 360使いの仙頭邦章さんのサイト「Make1010」のマウス基本操作の解説ページを見ながら進めてください。

関連リンク
FUSION360 マウスの基本操作&設定方法(Make1010)
http://make1010.com/fusion360-learning-mouse

ボディーのラインを描く

それでは、画面上部に並んでいる「ツールバー」から、[スケッチ▼]の▼をクリックし、[スプライン]を選択してください。画面がスプラインの描画モードになりますので、まずはスケッチしたい面を選びます。今回は真横の状態でスケッチしていきたいので、以下の面を選択(クリック)します(画像9)。

画像9 スケッチ面を選択

画像9 スケッチ面を選択

すると、マウスカーソルの矢印の先端に「+」マークが表示されるようになります。この状態で以下の部分(左上角:画像10)をクリックして、横から見た状態のクルマのボディーラインをおおまかに描いていきます。

画像10 ここからスプラインを描いていく

画像10 ここからスプラインを描いていく

スプラインで、次の点を順次指定していきながら、おおよその(横から見た)ボディーラインを描き、最後は後方にあるキャッチ部のこの位置(グレーの長方形の右上角:画像11)で止めます。

画像11 終点はここまで

画像11 終点はここまで

おおよそ5~6点くらいカーブのポイントがあればいいと思います。また、この段階で形状にこだわりすぎないことが重要です。本当にざっくりでOKです(後からどうせ大きく変わるので)。終点の位置まで描き終わったら、近くに表示されている[緑のチェック]マークを押すか、マウスの右クリックで表示されるショートカットから[OK]を選択します(画像12)。

画像12 [緑のチェック]マークを押すか、マウスの右クリックで表示されるショートカットから[OK]を選択

画像12 [緑のチェック]マークを押すか、マウスの右クリックで表示されるショートカットから[OK]を選択

次に、画面上部のメニューから[選択▼]をクリックします。この状態で、黒い点(カーブポイント)をマウスで移動させたり、ラインを選択して緑の点(ハンドル)を動かしたり、伸び縮みさせたりして微調整を行います。ここでも細部にこだわり過ぎず“おおまかな形状”で問題ありません(画像13)。

画像13 カーブポイントやハンドルを動かして、おおまかな形状に仕上げる

画像13 カーブポイントやハンドルを動かして、おおまかな形状に仕上げる

注意すべきは「自己交差」です。画像14のようなラインだと後でソリッド化できないので注意してください。

画像14 スプラインの自己交差は禁止!(出典:オートデスク 藤村氏スライド)

画像14 スプラインの自己交差は禁止!(出典:オートデスク 藤村氏スライド)

大体のラインが出来上がったら、画面上部の「ツールバー」から、[スケッチを停止]を選択して、スケッチモードを終了します。

ボディーの半分の形状をざっくり作る

次の作業に入る前に、いったんビューを以下のような感じに変えてみてください(画像15)。画面右上のビューキューブのそばにマウスを持っていくと、「家」の形をしたアイコンが表示されます。そちらをクリックすると後方斜め上から俯瞰したような視点になります(後は好みで調整してください)。

画像15 まだ線の状態

画像15 まだ線の状態

ご覧の通り、この状態ではただの「線」ですので、これを引っ張って「T-Splinesボディー」を作成していきます。まず、先ほど画面左側の「ブラウザ」で非表示にした「ボディ」形状を表示(電球ON)させます(画像16)。

画像16 先ほど非表示にしたボディー形状を表示に

画像16 先ほど非表示にしたボディー形状を表示に

次に、画面上部の「ツールバー」から、[作成▼]の右側にある紫色のブロック状のアイコン[フォームを作成]をクリックします。次に、同じく[作成▼]の▼を押して、[押し出し]を選択します。この状態で、先ほど描いたT-Splinesを選んでみてください(画像17)。

画像17 [押し出し]を選択して、T-Splinesをクリック

画像17 [押し出し]を選択して、T-Splinesをクリック

すると、白い矢印と、押し出し機能のダイアログ画面が表示されていると思います。この矢印を引っ張ってT-Splinesボディーを作っていきます。

ボディーとタイヤの位置関係が分かるように、今度は視点を真上から見た状態に切り替えてください(ビューキューブの「上」を押す)。そして、押し出し機能のダイアログ画面の「間隔」の項目を「均一」に、「面」の項目を「12」にしておいてください(画像18)。

画像18 [押し出し]ダイアログ画面の設定

画像18 [押し出し]ダイアログ画面の設定

では、白い矢印を引っ張ってみましょう。ここでは「10mm」押し出してみてください。以下のように押し出しができたら、画面上部の「ツールバー」から[フォームを終了]をクリックします(画像19)。

画像19 ベースとなるT-Splinesから「10mm」押し出した

画像19 ベースとなるT-Splinesから「10mm」押し出した

以下を参考に、少し視点を変えてみましょう(画像20)。

画像20 斜め上からの視点に切り替えて確認

画像20 斜め上からの視点に切り替えて確認

次に、画面下部にある「ヒストリーバー」の“一番右側”にある紫色のブロック状のアイコンを右クリックして、ショートカットメニューから[編集]を選択します。この状態で、先ほど「10mm」押し出したT-Splinesボディーの外側(画面手前側)の「辺」をダブルクリックしてください。外側の「辺」が全て色付き(筆者環境では黄色)表示されたことを確認し、そのまま右クリックでショートカットメニューを呼び出し、[フォームを編集]をクリックします。

すると、「マニピュレータ」と呼ばれるユーザーインタフェース(UI)が現れます(画像21)。

画像21 マニピュレータが表示される

画像21 マニピュレータが表示される

これは、T-Splinesによるモデリングで動かすことができる「線」「面」「点」に対して、「移動」「回転」「スケール」といった編集が行える操作用のUIです。これらの動きについては以下を参考にしてください(画像22)。慣れないうちは、印刷してディスプレイの近くに張っておいてもいいかもしれませんね。

画像22 「マニピュレータ」の動きについて(出典:オートデスク 藤村氏スライド)

画像22 「マニピュレータ」の動きについて(出典:オートデスク 藤村氏スライド)

T-Splinesによるモデリングでは、この「マニピュレータ」をいかにうまく、手足のように動かせるかがポイントとなります。最初のうちは思ったようにうまく動かせずにイライラしたり、気が付いたら自己交差していたりなど、操作に悩まされるかもしれませんが、慣れてくると粘土で形を作るようなイメージでモデリングができ、面白く感じてきます!

解説に戻りましょう。「マニピュレータ」の「移動(矢印マーク)」を使い、車体の外側(画面手前側)に向かってT-Splinesボディーを追加していきます。以下のように車体の外側(画面手前側)に向いている矢印を選択して、キーボードの[Alt]キーを押しながら外側に矢印マークをドラッグし、先ほどと同じ「10mm」まで押し出します(画像23)。

画像23 「マニピュレータ」のこの矢印マークを選択して、車体の外側に向かって押し出す

画像23 「マニピュレータ」のこの矢印マークを選択して、車体の外側に向かって押し出す

ここでマウスのボタンと[Alt]キーを一度離し、再度[Alt]キーを押しながら外側に「10mm」矢印マークをドラッグすることで、以下のような形状になります(画像24)。

画像24 最終的にこのような形状(30mmの押し出し形状)になれば、まずはOK

画像24 最終的にこのような形状(30mmの押し出し形状)になれば、まずはOK

ボディーのもう半分をミラーで複製

お気付きだと思いますが、ここまでの作業でできたのはボディーの片側半分だけです。ここでは「対称」という機能を使って反対側の形状を作成します。

画面上部の「ツールバー」から[対称▼]の▼をクリックし、[ミラー - 複製]を選択します(画像25)。次に複製したいT-Splinesボディー、つまりこれまで作成してきた押し出し形状を選び、続けて対称面を指定します。ここでは対称面を「側面」に指定します。

画像25 [ミラー - 複製]の実行

画像25 [ミラー - 複製]の実行

この「ミラー」のおかげでどちらか片側のボディー形状を修正しただけで、反対側も即時修正が反映されます。

画像26 [ミラー - 複製]が反映された状態

画像26 [ミラー - 複製]が反映された状態

ビューを真上にして確認してください。もし、先ほど「マニピュレータ」で押し出し作成したT-Splinesボディーの一部が、タイヤにかぶっているようであれば、少し調整しておきましょう(10mm×3回の押し出しで作ってあればかぶらないはず!?)。画面上部の「ツールバー」から[選択▼]を選択し、選択モードにします。そして、タイヤ側のT-Splinesボディーのどこかの「辺」をダブルクリックして、「辺」を全選択し、右クリックのショートカットから[フォームを編集]を選びます(画像27)。

画像27 この「辺」をダブルクリックで選択(全選択)して[フォームを編集]

画像27 この「辺」をダブルクリックで選択(全選択)して[フォームを編集]

すると、「マニピュレータ」が表示されるので、少しだけ内側にT-Splinesボディーを戻して上げます。もし、マウスのドラッグで思ったように調整できなければ、数値を直接入力してみましょう(画像28)。

画像28 このような感じで微調整

画像28 このような感じで微調整

ボディー側面を作る

現在のままでは、単にぐにゃぐにゃの板がクルマの屋根に載っているような状態です。これでは格好悪いので、ボディーの側面をちゃんと作っていきましょう。

ビューを真上(ビューキューブの「上」を選択)にして、タイヤに掛からなそうな範囲の外側の「辺」を[Shift]キーを押しながら複数選択していきます(選択された「辺」は黄色でハイライトされる)(画像29)。

画像29 真上から見てタイヤに掛からなそうな「辺」を[Shift]キーを押しながら複数選択

画像29 真上から見てタイヤに掛からなそうな「辺」を[Shift]キーを押しながら複数選択

選択したら右クリックのショートカットから[フォームを編集]を選びます。すると、「マニピュレータ」が表示されるので、ビューを斜め上からの視点に変えて、「マニピュレータ」の上向き矢印マーク(移動)を選択して、[Alt]キーを押しながら車体の底面方向に向かってドラッグして押し出します。その際、一気に下まで押し出さないで、ある程度の長さになったらいったん「Alt+マウスドラッグ」を離し、再度「Alt+マウスドラッグ」で押し出すというように操作しましょう(ここでは-10mmずつ×4回押し出す)。

画像30 「Alt+マウスドラッグ」で押し出しを繰り返した状態

画像30 「Alt+マウスドラッグ」で押し出しを繰り返した状態

ボディーの横は覆われましたが、まだ不格好ですので、形状を整えていきましょう。ビューを真横(ビューキューブの「前」を選択)にして、一番端の「辺」をダブルクリックして、「マニピュレータ」を表示(画像31)。横棒マーク(スケール)をマウスのドラッグで上下させて、ボディー側面の最下部が真っすぐに整うように調整します。この操作は意外と便利で、クルマのボディーラインをきれいに仕上げたい場合などに活用できますのでぜひ覚えておきましょう。

画像31 横棒マーク(スケール)をマウスのドラッグで上下させて、ボディー側面を整えた状態

画像31 横棒マーク(スケール)をマウスのドラッグで上下させて、ボディー側面を整えた状態

ホイールアーチの作成

今度はビューを真横にしたまま、ホイールアーチを作成していきましょう。まずは前輪側から。基本的には、これまでと同じように“「マニピュレータ」で移動/押し出し”が基本です。タイヤの外周よりもやや大きめのアーチが理想だと思いますので、今度は動かしたい「頂点」を選択して、右クリックのショートカットから[フォームを編集]を選びます。ここでは、「マニピュレータ」のマーク(移動)を使います。マークをドラッグしてタイヤの外周よりやや外側まで大胆かつ丁寧に移動させます。この作業をタイヤの周辺にある頂点全て行います(画像32)。

画像32 頂点を移動してホイールアーチを作成していく

画像32 頂点を移動してホイールアーチを作成していく

おそらくこの作業が一番難しいと思います。知らず知らずのうちに自己交差してしまうこともあるので、視点移動と「マニピュレータ」を駆使してホイールアーチを作っていきましょう。ただし、本稿は「何となくミニ四駆のボディーができる」ことが目的なので、多少ゆがんだホイールアーチでもよしとして先に進めましょう!

後輪も同様です(画像33)。あまりこだわり過ぎずにほどほどに……。

画像33 後輪も同様に仕上げていく(後方斜め上からの視点)

画像33 後輪も同様に仕上げていく(後方斜め上からの視点)

本来はモデリングしたボディーを、既製品のシャシーに載せるため、干渉部分などの確認や調整が必要になりますし、クルマとしてのディテールを追求していくことになりますが、今回は「Fusion 360の世界を感じてもらうこと」「取りあえずミニ四駆ボディーができた!」が趣旨になりますので、先に進めたいと思います。

恐らく、ここまで来ると「マニピュレータ」で形状を編集するのが楽しくなっているころだと思います。ただ、今回はあくまで練習ですので、あまり凝ったデザインにせずシンプルな形状にとどめて先に進めていただくことをオススメします(画像34)。とにかく、自己交差には注意です!

画像34 本稿では取りあえずこの形状で進めることに

画像34 本稿では取りあえずこの形状で進めることに

厚みを付ける!

ボディーのデザインが完成したら、最後に厚みを付けます。操作は簡単です。画面上部の「ツールバー」から、[修正▼]の▼を選択して、[厚み]をクリックします。「厚み」機能のダイアログ画面が表示されるので、厚みを付けるT-Splinesボディーを選択します。ここでは当然ボディーのことなので、ボディーのどこかをクリックします。また「厚さ」の項目があるので、ここでは「1.5mm」とし、[OK]ボタンを押します(画像35)。

画像35 ボディーに厚みを付ける

画像35 ボディーに厚みを付ける

以上でボディーの厚み付けは完了です。[フォームを終了]してください。

ちなみに、厚み付けの段階でエラーが発生する場合がありますが、多くの原因はボディー面の自己交差によるものです。エラーの修正を行う場合は、再度T-Splinesによる[フォームを編集]に戻り、問題の箇所を見直す必要があります。……と言っても初心者には難しいですよね。

筆者も「マニピュレータ」の操作に慣れて、かなり凝ったデザインのクルマをモデリングしたのですが、厚み付けでエラーに……。初心者には原因個所の特定も難しく、泣く泣く始めからデザインする羽目に(涙)。

ボディーとキャッチを一体化して、STLファイルで保存する

画面左側の「ブラウザ」で、ここまで作成してきたボディー形状(筆者環境では「ボディ25」)と、前後のキャッチ部分「ボディ14」と「ボディ17」以外を全て非表示(電球OFF)にします。ここで、前後のキャッチ部分と、ここまで作成してきたボディーを1つのモデルに結合していきますが、念のため、ボディー形状のモデルと前後のキャッチ部のモデルがきちんと重なっているか(浮いていたり、変なすき間が空いていないか)を確認してください(画像36)。

画像36 ワークスペースはこんな感じ

画像36 ワークスペースはこんな感じ。右上の赤枠のようにキャッチとボディーが浮いていないかしっかりとモデルをぐるぐる回して確認しておく!

画面上部の「ツールバー」から、[修正▼]の▼を選択して、[結合]を選びます。すると、「結合」機能のダイアログ画面が表示されるので、「ターゲットボディ」に作成したボディー本体を、「ツールボディ」に前部キャッチと後部キャッチをそれぞれ順番に選択します。全て選ばれた状態になったことを確認して、[OK]ボタンをクリックします(画像37)。

画像37 「結合」でボディーとキャッチ(前後)を一体化

画像37 「結合」でボディーとキャッチ(前後)を一体化

これでミニ四駆ボディーの完成です。

最後に、完成したオリジナルミニ四駆ボディーをSTL形式で書き出します。画面左側の「ブラウザ」一覧から先ほど[結合]で一体化したボディー(筆者環境では「ボディ25」)を右クリックし、ショートカットから[STL形式で保存]を選択します(画像38)。

画像38 [STL形式で保存]を選択

画像38 [STL形式で保存]を選択

すると、「STL形式で保存」のダイアログ画面が表示されるので、[OK]ボタンを押して、名前を付けて保存することができます。

以上で解説は終了です。お疲れさまでした!

Fusion 360に慣れている人は別ですが、恐らく本稿を参考にして一発で、エラーなしでミニ四駆ボディーをモデリングできる人は少ないと思います。筆者もいまだにエラーと戦いながらモデリングしています。ただ、失敗にめげずに、何度も繰り返し挑戦していると少しずつ上達が実感できます。めげずに頑張ってみてください。

◆◆◆

本稿ではFusion 360の基礎の基礎しか紹介していないので、今回作った3Dデータを精度良く、ミニ四駆のシャシーに載せることは難しいですが、目的であった「何となくミニ四駆っぽいボディーを作ること」は達成できました。皆さんはいかがでしたでしょうか? 本稿をきっかけに、Fusion 360をマスターして、イケてるミニ四駆ボディーをぜひ3Dモデラボに投稿してください!

ちなみに、Fusion 360をフル活用しているミニ四駆レーサーの圓田歩さんは、こんなにすごいミニ四駆ボディーの数々を作っているのです(画像39)。3Dモデラボにも作品が多数アップされていますので、興味のある人はぜひのぞいてみてください。

画像39 圓田さんがFusion 360で製作したオリジナルミニ四駆の一例(出典:The Maruta Works)

画像39 圓田さんがFusion 360で製作したオリジナルミニ四駆の一例(出典:The Maruta Works)

The Maruta Works(圓田歩さんの作品)
https://modelabo.itmedia.co.jp/members/themarutaworks/

 

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