以前のブログで完成報告をした「『ゆ』のみ」ですが、モデラボユーザーのトラストシステムさんから下記のようなコメントをいただきました。
ん……? 「デジタル陶芸で造形してみたいと思います」……?
以前、セラミックでの出力依頼先を探した時には「i.materialise」さんしか該当がなかったはず。DMMもrinkakuもセラミック対応はしていなかったのです。しかし、トラストシステムさんいわく、「デジタル陶芸」なるもので造形できると言うのです。
あまりに気になったので早速・・・
株式会社トラストシステム 代表取締役の三田さんにお会いしてきました!
「立体地図」「地形模型」を作る会社
トラストシステムさんの主要事業は「立体地図」や「地形模型」の造形です。元々学生時代にアーケードゲーム制作の会社でアルバイトをしていた三田さん。大学卒業後に、ものづくりの分野で起業しようと考え、アメリカ渡航の際に見た「ジオラマ」に興味を持ったといいます。
当時のジオラマは、ベニヤ板を層状に重ねて作っていました。「これを一発で3Dプリンタのように出力する機械を作成して受注すれば、ビジネスが成り立つかも」と考えた三田さんは本当に自らの手で機械を作ってしまったそうです。

三田さん発明の模型製作機
現在は博物館からジオラマの発注を受けたり、火山が噴火するとテレビ局のニュース番組から火山模型を発注されることもあるそう。いまでもソフトウェアから機械まで全て自分で製作されているそうです。発明家!
セラミック3Dプリンタも「改造して作っちゃいました」
と、模型や立体地図を作っていることはよくわかりましたが、それと陶芸ってどうつながるのでしょうか……? セラミックを3Dプリンタで作るのって難しいし、高い機械が必要のはずでは……?
「作った作品を持ってきますね!」と言われ半信半疑で待っていると
とても素敵なカップがでてきました!
この作品は、3Dモデラボにも投稿されているyuuさんの「焼き物デミタスカップ」という作品を出力したものです。
表面のデザインまで細かく再現できています。
うでみ「ど・・・どうやって作ったんですか・・・?」
三田さん「元々あった石膏の3Dプリンタを3~4年かけて改造してセラミックでも出力できるようにしました」
うでみ「改造!?」

「Z Corporation」製の「Spectrum Z510」を改造したセラミック用プリンタ
最初から特にビジネスにする気はなく、「セラミックの3Dプリンタ作れないかな~」と飲みの席で話した話題を本当に実現してしまったとのこと。出来た3Dプリンタで陶器を作りたい! という思いがあったわけでもないそうで、素材や制御に興味があって作ったと教えていただきました。本当に機械を作ることがお好きなのですね……。
このプリンタでの造形時間は約3時間。今日はあらかじめ造形してもらった「『ゆ』のみ」の粉をはらうデパウダーという作業を体験することになりました。
“造形”が出来ても完成までは一週間
軽いノリではじめたデパウダー作業、これがなかなか難しい!
取り出してもらった造形物は粉が付いている状態。これを慎重にはらっていきます。
粉を払い続けること約30分、ようやく・・・
普通の3Dプリンタの様に、ここで「出来た!」というわけではなく、これから乾燥→再度デパウダー→素焼き→釉薬をかける→最後にもう一度焼いて完成……という作業が必要になります。焼き物がポン! と出来てしまうわけではないのです。大体一週間ぐらいかかるそうです。
日本でまさかセラミック出力ができるなんて思ってもみませんでした!
デジタル陶芸体験、次回は釉薬~完成編をお届けします。